ヤドカリ実験室

1.殻の交換

 ヤドカリはカニとエビの中間に位置する生物で、腹部の形に特徴があります。つまりヤドカリの腹部は、エビの様に長く伸びたタイプからカニの様に短く曲ったタイプまであります。 そしてその中間に位置するのが一般的に見られているヤドカリです。
  この中間に位置するヤドカリの腹部は柔らかく、その柔らかい腹部を守るため、何かに入って保護する必要がありました。 そこでヤドカリ達は、海に豊富に落ちている大小様々な貝殻を利用するようになりました。

  この事は、ヤドカリ達にとって素晴らしい発見でした。

  その結果現在、海岸の貝殻の殆どは、ヤドカリ達に使用されています。
  しかしこのヤドカリ達の大発見も、重大な問題点がありました。 貝殻は成長してくれないという事です。 中身のヤドカリは、脱皮を繰り返し成長してゆくのに、貝殻は成長せず使い古され、ボロボロになってゆきます。
  危険な時に殻に入れなかったり、殻に穴があいていたら安全性が損なわれます。
  早急に新しい殻を見付けて殻の交換をしなければいけません。
しかし海辺に落ちている貝殻の殆どはヤドカリ達が使っていて、空の貝殻が落ちていても、欠けたり穴があいたりしていて、とても使い物にならないものばかりです。
  それではどうすればいいのでしょうか・・・・・という訳で、適当なサイズの殻を持つ仲間のヤドカリを探すことになります。
  適当な大きさの殻を持つヤドカリをみつけると、つかつかとよって行き、目標のヤドカリの上に乗ったりして大きさや住み心地を確認します。
  詳しくは、ホンヤドカリの宿換えを、ご覧下さい。

  その殻が気に入ると、そのヤドカリは相手のヤドカリと向かい合い、相手の殻をしっか
りとつかみ、自分の殻を勢いよく相手の殻に何度も何度もぶつけ、相手が出てくるまで続けます。 相手が根負けして少しでも出てくると、出てきた相手を掴み殻から引き出してその殻に素早く入り込みます。

  これで殻の交換が終了です。

2.ヤドカリを殻から出してみよう。

  ホンヤドカリなど、殻から出す場合、大別して2つの方法があります。
  一つは、彼等自身が相手を追出すために行うやり方を真似て、ヤドカリの殻を貝殻や小石でカンカンカン・・・カンカンカン・・・と、気長にたたく方法です。
  多少時間はかかりますが、何かの事情でどうしても出たくないという固体以外は、無傷で出てきます。

  ある人から、殻をたたいて実験したが、ヤドカリを殻から出すことが出来なかった・・・という話を聞きました。もう少し気長にたたいていると、出てきますので挑戦してください。
  
  もう一つの方法は、ヤドカリの入っている貝殻の先端部分を加熱する方法です。 加熱の仕方にも色々ありますが、その中でも一番安全性が高いのは、半田ごてを使う方法です。
  ヤドカリの殻の尖った部分を、熱した半田ごてに押し付けてしばらくすると、中のヤドカリは火傷寸前或いは、火傷をしながら出てきます。
  中には、出てくるタイミングを失い、中で煮えてしまう場合もあるので、熱の加え方は注意しなくてはいけません。
  更に実験する人も、半田ごてに触ったり、貝殻の熱い部分に触れて火傷をしない様十分注意する必要があります。

  この様な訳で、私としてはヤドカリ自身がやっている方法で、安全に殻から出てきてもらう方法を推奨します。

3.殻から出したヤドカリに色々な殻を与えてみよう。

  ツノガイの殻を利用するトガリツノガイヤドカリの話
    この貝殻は、牛の角の様に先端に行くにしたがって、細く尖っていて、基本的に円
  錐形をしています。

    まさに牛の角の様に、全体的に多少カーブしている位で、ほとんど直線の穴が開
  いているだけで、ヤドカリの腹部を巻きつける構造物はありません。

    因みにツノガイの殻に入るヤドカリがいます。トガリツノガイヤドカリというヤドカリ
  ですが、このヤドカリの腹部はエビの様に左右対称で、腹部を伸ばしたままツノガイ
  の殻に入るのではなく、腹部を折り曲げて入るそうです。


  殻をなくしたヤドカリの場合はどうするのでしょうか・・・?

  @ツノガイの殻での実験
 水槽の中には、殻から出たヤド
 カリに対して危害を与える可能
 性のある生物は全て取り出し、
 ツノガイの殻と 殻から出したヤ
 ドカリだけとします。

 果たしてツノガイに入ってくれる
 かどうか心配でしたが、腹部を
 守ろうとする思いが強いためで
 しょう、しばらくするとちゃんとツ
 ノガイの殻に入っていました

 
  AT字型に接続した透明なチ   ューブで試してみました。
 透明なチューブをT字型にして、
 殻をなくしたヤドカリに与えてみ
 ました。

 
透明なので、ヤドカリに認識でき
 るだろうか・・・ 等、心配がありま
 したが、うまく入ってくれました。

 T 字型にしておけば、腹部が曲
 げられるので少しでも住み心地
 が良いのではないかとの配慮で
 したが、まっすぐ伸ばしたり曲げ
 たりと、色々でした。

 あまり良い住み心地ではなかっ
 たようです
  B普通の貝殻に、粘土で魚の
  形を作り、口の部分に貝殻の
  口が来る様にして見ました。

 
今度は本物の貝殻を利用して、
 魚らしき形を粘土で作ってみまし
 た。この物体は、ヤドカリの目に
 はどの様に見えたのでしょうか。

 魚なら、食べられる危険がある
 ので近付かない筈です。死んだ
 魚なら、餌として食べられます。

 しかしこのヤドカリは、口の中に
 入り 宿として 使うことに 決めた
 ようです。
ヤドカリにとって、私が
 作った魚らしきものは、ただ穴の
 開いた石の塊に過ぎなかったよ
 うです。