ダイビングギヤー
  中性浮力オートバランサー


  ダイビングツアーに参加すると、潜水技術があるのに、何故か潜水中に本人の意に反して
浮上してしまったり、
浮上に祭し ゆっくり浮上しなくてはいけないのに、これも意に反して加速
度的に急浮上してしまう人を見掛けます。

  付き添いのインストラクターは慌ててその人を捕まえ、皆のいる深度まで引き戻します。
  急浮上していった本人はもとより、救助に向かったインストラクターにも悪影響を与えます。

  インストラクターはこの様な事態に対応すべく、常に神経を使っていなくてはなりません。

  インストラクターの方は、水中で見事に静止します。
  あれだけ見事に停止できれば、観察するにも写真を撮るにも、楽だろうと思います。慣れと
訓練でかなりの所まで行けるそうですが、かなりのタンク本数を消費する必要があります。


  この様に、自動的に水中で 中性浮力が確保でき、不用意に浮上したりしてしまう などの
険な事態の 発生しえない装置が出来れば、インストラクターも安心してツアーに連れて行く事
が出来、
ガイドに専念できるようになります。

 またベテランでなくても、サンゴの上に不用意に落下する事も無くなるので、
  自然保護にもなります・・・・・

 この様な考えから、中性浮力オートバランサーを提案します。                                                                 

潜水の話    1.中世浮力オートバランサーという考え方
  2.中世浮力オートバランサーの動作原理
    「中世浮力オートバランサー」実験装置の製作。
    水面下での中世浮力の、調整の仕方。
    水深によるペットボトル内の空気の変化と、中世浮力の取り方。
  3.実用的「中世浮力オートバランサー」。


潜水の話

  地球の70%を占める海、この海に潜り色々な作業に取り組む人達がいますが、現代で
は趣味で潜る
スポーツダイバーが増え、沢山のスポーツダイバーが海の自然を楽しんで
います。
 現在海に潜る(潜水する)というと、殆どの人がゴム製のスーツを着、水中眼鏡
と足ひれを付け、ボン
ベを背負って潜るスキューバダイビングを思い出します。
  ただ ちょっと残念なのは、ボンベの中には 酸素が充填されていると思っている人が非
情に多いとい
う事です。 酸素を使うタイプの潜水器材もありますが、特殊な用途用であり
私達が一般に目に
するボンベには普通の空気が 200倍に圧縮して詰めてあります。

  潜水道具の基本は、水中眼鏡 シュノーケル 足ひれ の3つ で、3点セットと言
われています。

  水中眼鏡は、目と海水との間に 空気の層を作り、水中のものを はっきり見るために使
用するのですが
同時に別の働きもするようになっています。 ダイビング用の水中眼鏡は
必ず 鼻まで入るようになっていて、その殆どに 鼻の形が付いていて、鼻
がつまめるよう
になっています。

「鼻をつまむ・・・・・?」

  なんて・・・・何か突拍子の無いような話ですが、スキューバダイビングでは無くてはなら
ない行動なの
です。
  この理由は後程説明しますが、ここまで安全に潜水できるようになった要因の一つに、
ライフベストに
対する発想の転換が行われた点にあるのではないかと思います。


ライフベスト・・・・・って何 ?
スキューバダイビングではそんなもの使わないと言われてしまいそうです。

  スキューバダイビングで必要な器材は、3点セットの外に、保温と共に海底の岩などか
ら体を守るウエッ
トスーツか、ドライスーツやブーツ及び手袋があります。 そして、ボンベ
・・・ウエイトベルト・・・水中時計・・・
に残圧計や深度計を配したゲージ盤と オクトパス及び
レギュレーター、そしてパワーインフレーターホー
スの接続されたセット・・・さらに、浮力調
整装置(BCD)は、パワーインフレーターホースを接続し、ボンベ
内の空気を 出し入れす
る事により、水面及び 水中での浮力を自由にコントロールできるという特徴と、重
いボン
ベを心地よく背負うためのハーネスの役目をする優れもので構成されています。


 一方ライフベストは、初期のスキューバダイビングの器材の一つで、ぺしゃんこにつぶ
したゴム製のベスト
で ウエットスーツの上に着用し、使用しないで済んだ事が 安全潜水
の条件でした。

  潜水を終え、浮上した所エキジット地点が遠いので、長い距離を水面移動しなくてはい
けなかったり、速い
流れに取込まれ 救助を待つ時など、水面を浮遊するために ベストの
胸の部分に取付けた小さな炭酸ガス
のボンベの紐を引いて、炭酸ガスをベスト内に注入
し、ベストを膨らまし 浮力を得るためのもので、一度膨
らませると 中の気体(炭酸ガス)を
出す事が出来ないので、潜水中に誤って 紐を引いてしまった場合には、
重大な事故につ
ながる事になります。

  炭酸ガスボンベは使い捨てで、使用後陸上で外し、ベスト内の炭酸ガスを 完全に排出
してから新しい炭酸
ガスボンベを取付けて、次の潜水に備えていました。

 この様に一度膨らませたら潜水出来なくなるライフベストを改良し、水面でも水中でも自
由に膨らませた
り縮めたり出来るようにし、中性浮力を簡単に得られるようにしたのが
BCD なのです。
  水面にいる時には空気を入れて膨らませて浮力を確保し、余分な体力の消耗を防ぎ、
潜水に当たりBCD
内部の空気を抜き、立ったままの状態で 楽に目的の深度まで到達す
る事が出来るようになりました。

 潜行深度に合わせてBCD内部の空気を調整すると、目的の深度で浮きも沈みもしない
状態・・・つまり中
性浮力を確保できる事になります。
  潜水が終了し水面に戻った時、BCDを膨らませ浮力を確保できるため、余分なエネル
ギーを消耗せずに
ダイビングできるので、ダイビングの安全性が飛躍的に向上しました。

 しかし この安全性の向上も、操作を間違えるととんでもない事故につながる事になりま
す。

  つまりある深さに潜るために、空気を徐々に抜いてゆき 中性浮力を確保し、その深度
のまま潜水を続ける
場合は問題無いのですが、さらに深く潜った場合中性浮力を得るた
めに空気を補充する事になります。

 この時、うっかり空気を入れ過ぎると、浮上を始めってしまいます。
  逆に浅い方に移動すると、BCD内の空気を抜かなくてはいけなくなります。
 この作業を怠ると、浮上するに従い水圧が下がり、BCD内の空気が膨張し、浮力が増
し徐々に加速度が付
きながら水面に持っていかれてしまいます。
  水中で高圧の空気を呼吸するスキューバダイビングにおいて、潜水深度と潜水時間、
そして浮上に要する
速度を管理する事が安全潜水の基準となります。

 これらの操作をせずに、どの深度においても 常に中性浮力が得られ、間違っても 意に
反して 水面に持って
いかれる様な事の 無い方法はないかと考え、考え付いたのが中性
浮力オートバランサーです。


 1.中性浮力オートバランサーという考え方

  まず水圧について説明しましょう。

  私達は空気中で生活し、通常 1気圧の圧力下で生活しています。 ちょっと高い山に登
ったり 車で山道や
トンネルを通過した時、耳が おかしくなったりしますが、これは圧力が
急激に変化した結果、耳の中に圧
力差が生じたために発生した現象です。
  この圧力の変化は、水中において10m潜るごとに1気圧づつ増えてゆきます。
  つまり水深が10mの地点では、地上の1気圧に プラス1気圧で、2気圧の圧力がかか
る事になります。
水深20mでは3気圧、30mでは4気圧、40mでは5気圧もの力がかか
る事になります。


 5気圧もの力が加わるという事は、空気中の5倍もの力で周囲から押し付けられている
という事で、水
分量の多い人間の体は 押しつぶされる事はありませんが、空気などの気
体の場合は押しつぶされて
1/5 に圧縮される事になります。 つまり気体は水深10mで
2気圧かかると、空気中で1あったものが
1/2の容量に、水深20mでは1/3、水深40m
では1/5となってしまいます。


  上記で、人間の体は 水分で満たされているのでこの様な圧力に耐えられると説明しま
したが、実を言
うと人間の体にも数箇所、気体の詰まっている場所があります。 それは
肺と耳と 顔面近くにあるサイナスといわれる空間、
そして水中眼鏡を付けた時に出
来る顔面です。

  肺の場合は、水圧と同じ圧力の空気を呼吸するようにすればよく、これはレギュレータ
ーで自動的に調
整されたボンベの空気を呼吸するる事で解消できます。耳とサイナスの
場合は、基本的に喉と つながっているので、潜水深度と バランスの取れた 圧力の空気

を呼吸する事で 圧平衡が 取れるのですが、耳の場合は 圧力差を 敏感に感じ、その時
の体調により 空気
の通り道が 塞がっている場合があるので、鼻の形をした水中眼鏡の
上から鼻をつまみ、静かに鼻に息
を送り込むと、圧平衡が取れて耳の痛みが解消されま
す。

これを耳抜きと、いいます。

  水中眼鏡による空間は、水圧が上がると水中眼鏡が顔面に食込み、最終的に鼻血が
出るなどの事故に
つながるので、こうなる前に鼻から水中眼鏡の中に空気を送り込めば
簡単に解消できます。 この時、鼻
から出す空気が大過ぎると 水中眼鏡の縁から余分な
空気が泡となって出てゆきますが問題ありませ
ん。
  これで何故、水中眼鏡が目だけではなく 鼻まで入れるのか、鼻の形が 必要なの
かが分かりました。

  この様に 水圧が空気に与える影響は大きく、BCD内の空気にも 影響が出る事になり
ますので、冒頭で
説明したような複雑な操作が必要となるのです。


2.中性浮力オートバランサーの動作原理

A.動作を分かりやすくするために、ペットボトルと針金・熱帯魚用のエアーパイプ、

  そして重りを使っての説明をしましょう。


1.空のペットボトルの蓋を取り、ペットボトルの口の部分にキリやドリルで小さな穴を開け
  ま
す。
2.その孔に細い針金を結び付け、その下に重りを入れるための袋を取付けます。
. その袋は何でもかまいませんが、中に空気が溜まらない構造とします。
4.熱帯魚用のエアーパイプを50cm程に切り、パイプの一端をペットボトルの肩の部分
  まで
入れ、重りの袋を下げるための針金にビニールテープで固定しておきます。
5.重りは海岸の石や砂を袋に入れて使います。

 



    B.いよいよ実験に移りましょう。

1. 重りの袋に適当な大きさの石を入れ、ペットボトルを逆さにして海面に浮かせます。
2.その時ペットボトルの中に入っている空気の量と重りのバランスにより、ペットボトル
  が適度の位置で顔を出して浮く様にします。

3.次に ペットボトルの肩の当たりまで差込んである エアーパイプの反対側を口にくわ
  え、息を吹き込みます。

4.すると、ペットボトル内の空気は、どんどん水面を押し下げ、やがてさかさまになった
  ペットボトルの口の部分からぶくぶくと出て来ます。
5.この時 ペットボトルはさらに海面
  から 飛び出した状態に なります
  ので、今度は 重りの袋に石を少
  しづつ 増やして行き、ペットボト
  ル全体が海面下に沈むように調
  整します。

6.重りが重すぎる場合 装置から手
  を放すと、装置が沈んで行ってし
  まいますから、手を放しても水面
  下5〜10cmの所で浮いているよ
  うに 砂などを入れて 微調整しま
  す。

7.最後に もう一度 エアーパイプを
  使い、ペットボトルの口から空気
  が溢れるまで 空気を吹き込み、
  状態が変らない事を確認します。

8.これで 中性浮力の状態が 出来
  上がりました。

  C.この装置を、水深10mに持って行きます。

1. 深度を増すごとに、水圧が高くなりペットボトル内の空気は圧縮され、ペットボトルの
  口のところにあった水面がペットボトル内を上昇して来ます。

2. 水深10mの地点にきたとき、ペットボトル内の水位は、ペットボトルの半分のところま
  で来てしまいまし
た。 手を放してみると、ペットボトル内の空気の量と重りとのバラン
  スが崩れているので、装置は沈んで行きます。
3. 付き添っているダイバーは、レギュレーターを介してボンベから、潜水深度に対応し
  た水圧と 同じ圧力の空気を 呼吸しながら、数回鼻をつまみながら 鼻へ 息を送り込
  む作業 (耳抜きという)をして、耳に感じる違和感を無くしながら、水中眼鏡が顔に食
  込まないように鼻から空気を水中眼鏡の中に送り込んだりの作業を行います。

4. ここで、レギュレーターから空気を吸い込み、レギュレーターを口からはずし、装置に
  取り付けたエアーパイプを咥え、ペットボトルに水深と同じ圧力の空気を吹き込みま
  す。
  水面下 での調整で、ペットボトル
  いっぱいに 空気を入れてやれば
  中性浮力になる訳な
ので、ペット
  ボトルの水面を良く見ながら空気
  を入れ、一杯になったところで エ
  アーパイプを離して レギュレータ
  ーを咥え 通常の呼吸に戻ります
  ・・・・・という説明は、BCDの様に
  一種の風船状のものに空気を入
  れる場
合で、厳密に 見計らう 必
  要があります。

5. しかし この装置の場合は、その
  ような事を 一切考えることなく、
  とにかく息を 吹き込み ペットボト
  ルの中を空気で満たせば良いの
  で、溢れた空気が ペットボトルの
  口からぶくぶくと出て来ても一向
  に関係なく、手を放してもその深
  度にとどまる 中性浮力の状態と
  なります。

D.水深10mで中性浮力になった装置を、そのまま水深30mに持って行きます。

1. 水深10mで、2気圧の空気を充満して 中性浮力を得た装置が 水深30mの深度に潜る
  と、4気圧かかる事
になり、10mで一杯にしたペットボトルの空気が 半分に圧縮される
  事になります。

2. つまり中性浮力のバランスが崩れ、装置は再び沈む方向に作用します。
  ここでは、区切りの良い様に10m単位での説明をしていますが、厳密に言うと中性浮力
  の状態から少
しでも深度を上げると、圧力が増すので ペットボトル内の空気は圧縮さ
  れ中性浮力のバランスが崩れ
だし、沈む方向への力が働き出します。
3. ここで再びエアーパイプから空気を吹き込むと、ペットボトル内は空気で満たされ、再
  び中性浮力が
確保できるのです。
4. 今迄説明したように、区切りの良い所で空気を補充して中性浮力を得るという実験で
  すが、この装
置の特徴としてペットボトル内に 空気を余分に送り込んでも中性浮力が
  確保出来るので、空気を常に
補充する様にすればどの深度にいても、常に中性浮力
  を保つ事が可能となります。


   水深によるペットボトル内の空気の変化と、
          中性浮力の取り方


 


E.浮上のときの装置の動作を見てみましょう。

1. 水深30mの地点で満杯としたペットボトル内の4気圧の空気は、浮上する事により周
  囲の水圧が下がる
に従い、圧力バランスの作用が働き膨張します。
2. 膨張した空気は 逆さまにしたペットボトルの口から 自由に排出され、装置は常に中
  性浮力を保つ事に
なります。
3. 仮に、この中に空気を吹き込んでも、余分な空気は排出されペットボトル内の空気は
  常に満杯状態と
なり、一番最初に水面下で設定した状態を維持し、中性浮力状態が
  保たれます。


F.この装置のポイント。

1. 浮力を保つための空気室は、BCDの様に袋或いは風船のように柔軟性に富むもの
  ではなく、固いもの
で出来ている事。
2. 空気室の下部 は穴が空いていて、海水及び空気が 自由に出入りできる構造で、空
  気室内部には 水圧
と同じ圧力の空気を 適度の間隔で注入し、空気で満杯状態を保
  つ構造とする事。


3.実用的 「中性浮力オートバランサー」

 実用的 「中性浮力オートバランサー」 というのは、中性浮力を得るためにBCDの
 様に
頻繁にエアー調整をしなくとも、常に中性浮力が得られる装置の事です。

           試作品写真